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ヴィッツ1000km物語
(めざせ! 無給油1000kmドライブ)

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はじめに

21世紀に突入して4年目となっています。
あなたやあなたの身の回りの出来事、刻々入ってくる世界各地の情報を見たり読んだりしていて、今世紀の未来は明るいと思いますか? あなた自身はどう考え、どのようなことに注意して行動すべきと考えていますか?
4年前、「ジョン・ブロックマン編・高橋健次訳/草思社/2000年間で最大の発明は何か」が発行されました。世界の知識人108人が、「インターネット」「眼鏡」「消しゴム」など意表をつく回答をしましたが、「クルマ」と答えた人はほとんどいません。
理由は明白。石油資源枯渇、地球規模の環境破壊と大きな減点があるからです。


個人レベルの視点から見て、クルマにスピード感・パワーやA地点からB地点への移動に関する経済効果を要求しているのは、前世紀の考え方です。今世紀では、プラスしてもっと新しい考え方―エコロジーを強く意識しなくてはなりません。

ヴィッツで無給油1000kmを達成したのが2004年7月17日。
この直後、新潟・福井の集中豪雨による被害のニュースが飛びこんできました。
東京では、7月20日、観測史上最高の最高気温39.5度を記録しています。
地元の富士山では、頂上付近の永久凍土が溶け始め、冠雪の状態が観られなくなってきました。
これら一連の現象は、地球温暖化の影響によるものです。地球温暖化の原因をつくっている温室効果ガスの1つにCO2がありますが、日本のCO2排出量の1/5はクルマから。CO2は、燃料消費量にほぼ比例して排出されますから、絶対的燃料消費量を減らさなければ、地球温暖化に歯止めはかけられません。


先日、DVDプレイヤを入手した際に、「ファインディングニモ」を観ました。息子ニモを探すため、父マーリンは大海めざして冒険の旅に出るカクレクマノミの物語です。
ラストの網にかかったカサゴの大群が、ニモの「下に向かって泳げ!」の発言で、カサゴたちの個々の力が1つになり、見事に網から脱出するシーンに、私は胸を打たれました。


地球温暖化が進んでいます。
このままではいけません。歯止めをかけるために個人レベルでできることがあるハズです。日々の生活環境を見渡すと、私の周りではこの問題に関しては、まったくバラバラでまとまった考えのもとに行動しているとは思えません。1つの方向性を持って何か対策を実行しなくてはなりません。クルマメーカーの開発者たちが渾身の力をふりしぼって、新世代のLEVをリリースしても、私たちユーザー側が、その「走らせ方」がまずくては無意味となってしまいます。
同じヴィッツでも平均燃費10km/Lそこそこのドライバーがいれば、20km/Lで走りきるドライバーもいます。違いはどこにあるのでしょうか?
そんな疑問を抱き始めたあなたに、1つの事例を紹介したいと思います。
  



決行前夜までのあらすじ
10・15モード燃費19.6km/Lのヴィッツ1L4ATに乗り始めた翌年の夏に、無給油930.6kmを記録している。
平均燃費24.5km/L。
メモを見ると7月上旬に900km台を達成している。
なぜ7月に、そのような記録が生まれたか?
萩口キルト社長談によると、相対湿度によるのだという。
吸気中の水蒸気が多いため、混合気の爆発力が増し、燃費が良くなる。HPで調べると静岡県浜松では、7月の相対湿度80%で、年間最高の月となっている。ついで6月と8月が78%と続く。
なるほどとうなずく。


省燃費走行の基本は高速ステージにあると、ノズ・コレは常々考えている。
高速道路では信号がないのでノンストップ走行ができるが、市街地郊外の一般路と比べて起伏があるのが、東名高速を走った実感である。
周囲のクルマの状況・経済速度・アップダウンの道路に対応したアクセルワークを考慮して、高速道路を走れば同じクルマでも人によっては、20%も30%も違ってくる。故に燃費テクの見せ所である。
その応用が下の道路の一般路ステージで十二分に生かされてくると思う。
かくいう動機付けで、基本となる高速ステージにおける無給油1000kmチャレンジとなったのである。


先日、「起爆水」を試してみた。
東名IC〜岡崎IC往復120km区間を試走してみると、平均燃費30.3km/L(HKS社CAMP計測)となかなか良い値である。
だが、無給油1000kmドライブには採用しなかった。その理由は、ノズ・コレのドライブフィールに会わないから。
ロングドライブは、苦痛であっては長続きしない。あくまで楽しく。
今回採用した燃費向上グッズは、吸気系はエコ・バンドSP(萩口キルト社)、燃料系は2分割サンドイッチ型のクリーンパワーマグ(細田電機社)のマッチングに落ち着いた。燃費リハーサルでは、前述120km往復コースでコンスタントに28〜29km/Lが出ていた。
平均燃費28km/Lで高速道路を走りきれば、ヴィッツ満タン40L消費で1120km走破となりうるが、実際はそうはならない。2〜3回の料金所ストップで簡単に0.5km/Lはダウンする。
そこで無給油1000km達成の最低平均燃費は、27.5km/Lと定めた。消費燃料37〜38Lとすれば、1050km前後となるからだ。ドライブ中は時折、CAMPの平均燃費を見据えていれば良いから走り自体は楽である。
問題は、首都高速をいかにスムーズに通過できるか、渋滞に合わないかの2点である。とくに事故渋滞に遭遇すれば最悪。平均燃費2km/Lくらいはすぐにダウンしてしまう。
いらぬ心配であればよいが。
それでは、シルビィと共に、涼を求めて気楽に行こう。
  


早朝の出発

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4:00過ぎ、ノズ・コレは起きた。
あたりは、まだ暗いが早朝ウォーキングをする人が歩き始めるのも、この時間帯だ。
空気はきれいだが、6:00を過ぎると、てきめんに悪くなるのは、クルマの交通量がグッと増えて排出ガスで空気が汚れるためだ。
愛車シルビィのエンジンをかける。
ライトオンで彼女の目がらんらんと光り、モチベーションが高まる。
「シルビィ。今日の具合はどうだい?」
「いつでも、すたんばいサァ」


走行距離8万5000kmは、人間でいえば85歳か? 4年目を迎えたシルビィには、ムリ・ムダ・ムラをなくした運転を心がけているので、おかしなヤレはない。メンテも重要なポイントである。

ガソリン携行缶

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いつものGSに入る。
同じ給油機で同じ山側より給油する。ギリ満(ギリギリ満タン)をGSマンにお願いする。
最初にクリスタルC3000添加してから、約36L給油。
ついでに5Lガソリン携行缶に、4.0L給油する。もしものことを考えての予定の行動である。
「満タンで1000km、走ってくるヨ」
「ホントですかぁ。そんなに走れるんですか?」
「いや、初めてでね。計算すると、1000km走れることになるんだ」
「そーですか。頑張ってください!」


ノズ・コレは言い切ってしまうと、妙な自信が湧いてきた。
先々週も無給油で936kmを走っている。決して無理なプランじゃない。イージー。イージー。
5:00に浜松ICに入る。

首都高速の渋滞

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やはり予測は当たった。というより、8:00〜9:00のこの時間帯に首都高速に入ったのがまずかったのか。
土曜日というのに、霞ヶ関あたりまで渋滞している。前のトレーラは尺取虫。シルビィも尺取虫。横の大型トラックのホイールあたりが気になるのは、最近の三菱ふそうトラックの迷惑ニュースのせい。
ノズ・コレはふだん、めったにカーエアコンはかけない。
純粋にクルマのドライブフィールを楽しみたいから。人工の涼風を好まないから。燃費計測の邪魔な要素だから。余分な燃料消費は、CO2排出量を増やすだけだから。
窓ガラスオープンで周囲のモァ〜とした熱気にもひたすら耐え忍ぶ。この行為がクレイジーかどうかは、わかる人には、すでにわかっている。

CAMP447.6km

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浜松〜東京までのおよそ200km区間の東名高速の平均燃費は、28km/L台でまずまずのスタートだった。それが首都高速の渋滞にハマリ、川口JCTを抜け出た地点では、26.5km/Lに落ちていた。
まずい! たいへんまずい!
これでは無給油1000km達成には、かなり危ない橋を渡らなくてはならない。それだけは避けたい。安全領域の平均燃費27.5km/Lを確保しなくては。
東北道に入ってから、より丁寧なアクセルワークに心がける。CAMPに表示される平均燃費は、じわりじわりと上がってきた。
447.6km走行時点で平均燃費27.2km/Lまで刻んできたぞ。

アクセルワーク

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ノズ・コレがオートメカニック誌編集部から教わった燃料カット走行とは、こうだ。
「スピードの巾を10km/hに設けます。下限から30秒間くらいかけて、ゆっくりと速度を上げていきます。あらかじめ決められた速度の上限まで達したら、アクセルペダルを離す。下限までスピードが落ちたら、じわりとアクセルを繋ぎ、再びスピードを上げていきます」
換言すれば、セミセイリングとローリングをミックスした走り方である。空気抵抗の少ないクルマのほうが有利に働く。後続車には、くれぐれも注意されたし。
ノズ・コレは、この走り方によりレガシィで高速燃費20km/Lの壁を破った。
しかし、燃費グッズを装着してもアクセル一定走行と変わりない場合があるから、面白い。ふつう、10%燃費アップする。

白河IC

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那須高原SAあたりは、ゆるくて長い坂である。
エアコンなしのサイドウインドウオープンであるが、走行中の涼風がひんやりしてきたのがわかる。
450km走行で、白河ICでいったん東北道を降りる。この地点での折り返しはプランどおり。単純計算すると往復で900kmとなるが、プラス100km用の燃料は、突発的なアクシデントのために備えておく。1000kmの道中には、どんなトラップが待ち構えているか計りしれない。
東北道をUターンして、上りの那須高原SAで昼食と休憩。週末なので駐車エリアは、ほぼ満車状態。エアコンをかけてアイドリンングしたり、人もクルマもさまざま。この行楽客の中で、クルマが影響を与えている環境問題を真摯に受けとめている人が何%いるだろうか?

トリップ500.7km

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13:00前にシルビィは、東北道上りを走っていた。トリップメータでは500km走破。燃料計の針はまだ中央までいっていない。針がほぼ中央を指すときには、トリップメータは600kmを表示した。
運転中の同じ姿勢では、うっ血してきて体にはよくない。リクライニングシートの角度を変えたり、大きく伸びをしたりして、体をほぐす。
愛車は東京目指して走る。CAMPは、平均燃費27.5km/L表示。
しかし、東京ICを過ぎた地点でまたまたトラップに引っかかることになる――。

CAMP1036.3km

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「渋滞25km」
東京ICを通過してまもなく、シルビィは、ノロノロ運転になってしまった。これから先25kmも続くのである。
平均燃費ダウンは必至。しかし、そうはイカの金○。ここまできて朝食にされてたまるか! の心境である。
尺取虫走行をやめて、他の走り方に変更。前走車との車間距離が空けたら、20km/hまでダッシュ! 次いでローリングする。すると瞬間燃費は30km/L台を表示できるようになった。


CAMP表示では、15時間走行後、971.9km走破。平均燃費27.4km/L。
16時間走行後、1036.3km走破(トリップメータ表示は1038.0km)。平均燃費27.5km/L。消費燃料37.6L(37.66L給油)。

オド87051km
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21:13.。闘いは終わった。
GS手前の裏通りでシルビィを止める。
オドメータは87051kmを表示している。


ヴィッツで無給油1000kmは達成された。これまで100〜150kmの短区間で30km/Lオーバーを記録したことは、時折あった。机上では、マイヴィッツがいつ記録してもおかしくない出来事だった。けれどもなかなか実行に移す機会がなかった。そうして4年目を迎えた。それはシルビィに与えられた課題の1つであった。
想像は、あくまで想像でしかない。実現して体験しなければ、見えてこないものがある。ノズ・コレが無給油1000km達成後に見たかったものは、
AM誌編集部への返事(2003年臨時増刊9月号P202)だったのかもしれない。
浜名湖SA6
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涼を求めて1000kmのドライブ。
その次の日曜日。東名を走って浜名湖SAに行ってみる。ヒトヒトで混雑しているのは、開催中の浜名湖花博の帰路に立ち寄った人もたくさんいるからだろう。
浜名湖を背にして左手にレストラン。右手にお土産、手作りパンショップ&宝くじ売り場があるが、中央広場には、「のたね」がいる。のたねは、浜名湖花博のメインキャラクタ。「〜の種」の意味を持つ。
適度の水と光と空気と温度によって、植物は育ち、花が咲いて実を結ぶ。生態系のごく自然な形である。来年も次の年もその次の年も、同じ時期に同じ花を観て愛でたいと思う心があるならば、生態系のバランスを壊してはならない。
ヴィッツ神社前2
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地元鷺の宮(さぎのみや)の神社の巨木をバックにして、足を休めるシルビィ。このポイントは、ノズ・コレお気に入りの場所である。
シルビィは、どこにもあるシルバーメタリックのヴィッツ1L4ATとほとんど変わらない出で立ち。下手なドレスアップはシルビィには似合わないと考えているのは、ノズ・コレの独断と偏見によるものである。シルビィを擬人化して考えてみると、果たして幸せ者か不幸せ者かは、よくわからない。問いかけると、おそらくこう答えるだろう。
「ご主人サマ。次はどこに行きますか?」


クルマはクルマなのである。


おわりに

「クルマに乗らないことが1番の環境問題対策」では、ナンセンス。
それでは答えになっていません。実生活のうえで役立つ情報提供が大切です。
当HPで幾度となく出てくる「セイリング」「ローリング」をふんだんに利用して、燃費向上に努めることです。
やり方は、さほど難しくありません。
信号青でそこそこ加速して、定速状態になったら、1〜2mmくらいアクセルを戻すだけでよいのです。前方に赤信号を見たら潔くアクセルを離してみることです。次の青信号からのスタート時刻に変わりないことに気づけば、いかに無駄が多いか、よくわかると思います。
では、実践あるのみ。
机上の空論では、空しさがカラ回りしています。



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